« 三宮・梅田間 | トップページ | 冠詞は さらっと (a と an) »

2010年4月 7日 (水)

冠詞は さらっと (theの検証)

可算名詞、不可算名詞に進む前に、前回提起した、「当事者の意識」をよりどころに不定冠詞か定冠詞を分ける方法について検証したいと思います。 (正直いうと、加算・不可算名詞のことをもう少し考えたいのです。スイマセン(^-^; )

簡単におさらいすると、「当事者の意識」の外にある名詞は不定冠詞"a"によって意識の内に連れてこられ、一旦その意識の内に入ると定冠詞"the"のお世話になるというものでした。

手元にきちんとした文法書がないので、日本工業英語協会発行の「工業英検2級クリア」という試験対策本から引用します。その29ページに定冠詞"the"の用法として次の6通りが挙げられています。

(1) 2回目以降に参照される場合の "the"

(2) 常識的にただ1つに決まる場合の"the"

(3) 後ろから修飾され、ただ1つに限定される場合の"the"

(4) その場の状況からただ1つに限定される場合の"the"

(5) 最上級や序数、限定的な内容(only, last, etc.)を表す場合の"the"

(6) 種全体(総称)を表す場合の"the"

このうち(1)は明らかに当事者の意識にありますし、(4)は当事者が意識しているから限定されるといえます。(3)は前回説明した【解釈上の既出】に相当します。

(2)は常識という言葉からわかる様に、当事者の外からではなく内側から湧き出るイメージで、前回説明した【当事者の意識は既出】に相当します。

(5)についてですが、最上級や序数と機械的に捉えると少し危険です。ここでも「当事者の意識」の内か外かを意識したほうが安全かつわかり易くなります。

"the highest mountain" - これは具体的にどこの山のことでしょう? チョモランマ、アルプス、富士山、それとも??

A highest mountain is not necessarily the highest mountain in the world.

ということかもしれませんね。 最上級が不定冠詞"a"のお世話にならなくて済むのは、あくまでも、それまでに当事者間で暗黙の場合も含めて、ある程度の共通認識ができているからだと思われます。つまり、上記の山の場合、話題の範囲は日本のことでも月のことでもなく世界(地球)のことというのが当事者間で共有されていて初めて、初出で"The highest mountain is xxx."といえるわけですね。 ちなみにGoogleでフレーズ検索をかけるとsite:ukでフィルタリングしても"a first"なら数百万、"a highest mountain"でも100個以上あります(2010年4月7日午後4時日本時間)。 結論として、(5)の場合でも、あくまで基本は「当事者の意識」の外か内かで判断できると思います。

(6) 種全体(総称)を表す場合について。

実は、前回この点について触れようかとも思ったのですが、ややこしいのでskipしました。でも、関連テーマが用法として挙がってしまったので、ここで検討します。

ご存知の様に、不定冠詞も総称的な意味で使われることがあります。「~というものは」などと訳されますね。ただし、この総称の用法は不定冠詞・定冠詞に関わらず、複数形が好まれる場合が多々あり、特に"a Japanese"のように「1人の日本人」の意味しかなく、総称の意味では使わないとか、普通名詞でも目的語となる場合は、総称としての用法は複数形になることが多いので、基本的には複数形を使った方がよいように思います。 ただ、文の流れとか場合によっては単数形を使う必要があることも少なくはありません。 

さて、総称を表す定冠詞と不定冠詞を、どのように使い分けるかということです。いままで、一貫して使ってきた「当事者の意識」とは違う観点が必要なのでしょうか。いいえ、この場合も、「当事者の意識」の内か外かで判断するというのが私の提案です。

たとえば、総称としての"a dog"とは、当事者の意識の外(前回の薄緑色の円の外側)のいたるところにいるいろんな「犬」の一匹をとりあえず不定冠詞"a"で当事者の意識の内側に連れてきて、「(いろんな犬がいるが、この一匹と同じようにどいつもこいつも)犬というものは」といったニュアンスになると思われます。対して、総称としての"the dog"は、すでに当事者の意識(特に強調するなら共通の意識でしょうか)内にあるので、「私たちがよく話をするほとんどの犬に見られるように)犬というものは」といったニュアンスであると思われます。 

このニュアンスの違いの裏を取ることは困難ですが、例えば、ジーニアス英和辞典SECOND EDITION(大修館)のtheの総称用法の説明に、「同種属・同種類のものの全体を代表させる・特に別の種族と区別するような場合に用いる。」とあります。つまり、不定冠詞による総称に比べて、定冠詞による総称は「当事者の意識」に基づく何がしかの限定が働いていると考えられます。

この仮定が正しいなら、多くの科学・技術用語は

  • 業界誌で一般名詞としてつかうなら、"the xxx"
  • 一般誌で総称として使うなら、 "a xxx"

となる傾向があるはずです。英文読みのときはこの点をkeep in mind して例文を集めたいと思います。よろしければ、皆さんも検証してみてください。

以上まとめると、最初にあげた6種類の"the"の用例の(1)から(4)は当事者の意識」(つまり、前回の図でいうとうす緑の範囲)の内側ということで説明がつきます。また、(5),(6)も実は、同じ説明を少し拡張したもの、つまり「意識の範囲(うす緑の円)」は固定されているわけでなく、当事者間のinteractionにより変化しつつ、その変化し続ける中で現在の範囲を基準に内・外が意識されているということだと思います。 言い換えると、(1)~(4)は単に範囲の内か外かだけが意識され、(5),(6)をそれプラス、範囲そのものもが変化するので意識せざるを得ないということでしょうか。

もちろん、6種類の用法を正確に理解し使い分けることが王道ですが、冠詞は80%位の正確さでなるべくストレスを感じず、他に力をまわし、文全体としての品質と英作スピードを上げるという目的の手段としては、このsimpleな「当事者の意識」の内・外による判断は使えるのではと思います。

ここまで、かなり切り詰めた理論を展開しました。 ご意見・ご質問など、お待ちしています。

以上

ブログでの予告は自分の首を絞めることにやっと気がつきました。

でも、この冠詞シリーズは敢えて予告します。

次回は、"a"と"an"を検討し、その後ににいよいよ可算名詞・不可算名詞について考えようと思います。

h&o

« 三宮・梅田間 | トップページ | 冠詞は さらっと (a と an) »

工業英検」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 三宮・梅田間 | トップページ | 冠詞は さらっと (a と an) »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ